e-book という新しい「本」の在り方というものは、連綿と歴史を積み重ねてきた紙とインクから作られた形とは違う何か画期的な形を模索する必要があるでしょうか。
私などは「画期的な何か」とは既にウェブアプリケーションにおいてある程度実現されている、関連する書籍をつなぎあわせて提示し読者と活字の海に沈んでいる書籍とを巡り合わせる機能ではないかとおもっています。Amazon.com 然り、Google books 然り。
それ以外の試み、例えば音楽や動画との一体化といったアイデアもあるのですが、それは e-book の担当するところではなく、より高機能に、スマートになっていくガジェットが担うところではないだろうかとおもったりします。
とはいえ「本」を作るために必要な技術が身近になってきたのだから、様々な形の作品が世に出てきても構わない。極端なことを言えば自分が好むフォントタイプやフォントサイズでこの作品を読みたい! というような究極の小ロット生産が成立したって良いのではないでしょうか。自分だけのための仕様の作品ならばちょっと余計に払ってもよいでしょう。
そんなことを考えたのは「日本一読みづらい電子書籍」というのに巡りあったからです。
どこが「日本一読みづらい」のかはみなさんが末尾のリンクから PDF を取り込んで読んでみて頂きたいとおもいます。夢野久作というと私は『ドグラ・マグラ』と『少女地獄』あたりを読んでいます。あと、『瓶詰地獄』が思い出されますね。掌編小説の傑作。私は掌編の傑作というとこの『瓶詰地獄』と久生十蘭の『骨仏』が真っ先に浮かびます。この『縊死体』も掌編小説ですが、知らずにおりました。この e-book で初めて見えたのは幸運と言って良いのではないかとおもいました。
先に紹介した『Gena Maper』についてフォーマットが違う版を見比べて「Kindle の方が読み易い」というような感想を私は書きました。実のところ私はそうまでしないと好悪に気づかないくらい、ページの版組みやフォントについてはかなり疎い方だと思います。京極夏彦さんが執筆される時のお話しを聞くと自分でページ割りまで考えられるようで、作家もそこまで作品に関わるのが本当の姿ではないでしょうか。自分ひとりでできずとも、チームで「本」という作品を作り、結果としてその出来栄えに作家も編集者もデザイナーもチームの一員として責任を持つ……というようなことが今まで生まれてきた美しい書籍には言えるのでしょう。紙で作った本であれ、e-book であれ同じです。実は e-book においては、本当に美しい作品というのはこれから生み出されてくることになるのかもしれないですね。
『縊死体』の PDF 版は現在無料でダウンロードできます。これは作られた長久さんの名刺なのだろうと私は勝手に解釈しました。短いながらも充実した娯楽を体験させてもらったのですが、ページの中は縦書でつくられているのに、ページは左から右に送るように作られているのがただ一点持った要望でした。もしかしたらこれも「日本一読みづらい」のうちかもしれません。
ダウンロードは下記から。是非。 ↓
グラフィックデザイナー・長久雅行のウェブサイトです。
私などは「画期的な何か」とは既にウェブアプリケーションにおいてある程度実現されている、関連する書籍をつなぎあわせて提示し読者と活字の海に沈んでいる書籍とを巡り合わせる機能ではないかとおもっています。Amazon.com 然り、Google books 然り。
それ以外の試み、例えば音楽や動画との一体化といったアイデアもあるのですが、それは e-book の担当するところではなく、より高機能に、スマートになっていくガジェットが担うところではないだろうかとおもったりします。
とはいえ「本」を作るために必要な技術が身近になってきたのだから、様々な形の作品が世に出てきても構わない。極端なことを言えば自分が好むフォントタイプやフォントサイズでこの作品を読みたい! というような究極の小ロット生産が成立したって良いのではないでしょうか。自分だけのための仕様の作品ならばちょっと余計に払ってもよいでしょう。
そんなことを考えたのは「日本一読みづらい電子書籍」というのに巡りあったからです。
どこが「日本一読みづらい」のかはみなさんが末尾のリンクから PDF を取り込んで読んでみて頂きたいとおもいます。夢野久作というと私は『ドグラ・マグラ』と『少女地獄』あたりを読んでいます。あと、『瓶詰地獄』が思い出されますね。掌編小説の傑作。私は掌編の傑作というとこの『瓶詰地獄』と久生十蘭の『骨仏』が真っ先に浮かびます。この『縊死体』も掌編小説ですが、知らずにおりました。この e-book で初めて見えたのは幸運と言って良いのではないかとおもいました。
先に紹介した『Gena Maper』についてフォーマットが違う版を見比べて「Kindle の方が読み易い」というような感想を私は書きました。実のところ私はそうまでしないと好悪に気づかないくらい、ページの版組みやフォントについてはかなり疎い方だと思います。京極夏彦さんが執筆される時のお話しを聞くと自分でページ割りまで考えられるようで、作家もそこまで作品に関わるのが本当の姿ではないでしょうか。自分ひとりでできずとも、チームで「本」という作品を作り、結果としてその出来栄えに作家も編集者もデザイナーもチームの一員として責任を持つ……というようなことが今まで生まれてきた美しい書籍には言えるのでしょう。紙で作った本であれ、e-book であれ同じです。実は e-book においては、本当に美しい作品というのはこれから生み出されてくることになるのかもしれないですね。
『縊死体』の PDF 版は現在無料でダウンロードできます。これは作られた長久さんの名刺なのだろうと私は勝手に解釈しました。短いながらも充実した娯楽を体験させてもらったのですが、ページの中は縦書でつくられているのに、ページは左から右に送るように作られているのがただ一点持った要望でした。もしかしたらこれも「日本一読みづらい」のうちかもしれません。
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