『ウェブで政治を動かす!』 津田大介 ( Kindle 版を iPhone で )

2012年12月15日土曜日

 津田さんの著書を読むのは二冊目になります。どちらも e-book で読んでいます。『Twitter 社会論』は iPhone のブックアプリとして購入したものでしたが、今回『ウェブで政治を動かす!』は Kindle Store で500円で出ているのを購入しました。わずかの時間で e-book の買い方が大きく転換したことを思います。


 本は Amazon の構築したシステム上にあり、私は購入した本を私が保有する端末で読むことが出来ます。現実 iPhone4 しか手元には無いわけですが、Kindle Paperwhite なり、他のタブレットなりを買えばそちらでも読むことができます。ただ本としての実体は私の手にあるのかどうかわからず、例えばもし私が死んでしまったとしたら、私のアカウントに属する本の所有権は霧消してしまうようだな、と感じられ、支払った対価と見合うことになるのか不安な気持ちになります。これは使うたびに感じるもので、以前にも書きましたし、今後も同じような印象を書いてしまうだろうとおもいます。

 どうしても所有したい本が出できたら実際の書籍で改めて買ってしまうのだろうな、と考えると e-book というのは図書館的ではあると感じます。図書館は「借りる場所」であって本代は払わないじゃないか……ということなのかもしれません。ただ、今回もそうなのですが、私が Kindle Store で所有感が曖昧な e-book を買う時には「本を買う」という意識よりも「本を書いた人への共感や敬意」を示しているという方が似つかわしいような気がします。図書館で読んだ本であっても、ネットで無償で読めるものであっても、何らかの形で小さな賛意を表したいと思うことがあります。それが現実に出来るようになった……というような感覚です。

投票日の前々日に

津田さんの Twitter アカウントをフォローしていると、津田さんが自著について言及のあった tweet は積極的に公式 Re-tweet されるので結構な数の「コマーシャル」を目にすることとなります。それでもって読もうと思うに至るかというと微妙だとおもっており、津田さん自身も「邪魔になるようだったら一時的にでもアンフォローして下さい」というようなことを以前宣言されたうえで Re-tweet されていたような記憶があります。

 今回買おうと思ったのも流れてくる書評的な Tweet とは無関係で、津田さん自身の tweet で「メールマガジンの一部を無料公開している」という案内を出されているのを読み、そこから得た興味が購入につながったような流れとなりました。このたび東京都知事選挙と衆議院議員選挙が行われるにあたり(また低い投票率で自分の思いとかけ離れた選挙結果になりそうだ)と感じるなかで津田さんがどのようなことを書かれているのかが知りたくなったのです。投票日の前々日にやっと読み終えることとなりました。

 政治に道具としてのソーシャルメディアが影響を与えた事例を整理して書かれており、知っている事象もあれば新たに知ったこともありました。もちろん私のように「選挙活動についても投票についてもネットワークが使えるよう改善してほしい」と思うような人間に向けても、それほどネットや ICT を使いこなさない女性や若いひとたちにも向けても書かれているように思いましたが、ネットなんか門前払いだというような中高年の人達に読んで欲しいという気持ちがあったのではないだろうかという印象を持ちました。その意味で朝日新書から出ている当著書が書店でも手に取られていることに微かながらも救いを感じます。

 Kindle Store を通して読める本が雪崩打ったように増えたようなイノベーションは政治の世界では起きないのかもしれませんが……というか Kindle Store ですらまだ様々なしがらみがあるように見受けられるですが……小さいながらも事態を我々は動かしていて、この本もその動きのなかのひとつであるのだろうとおもいます。