『ブラックジャックによろしく』 第一巻 佐藤秀峰 ( pdf を Kinoppy で読む )

2012年10月12日金曜日

 佐藤秀峰さんが自作を含む漫画作品の配信サイト「漫画 on Web」を自ら立ち上げられるなどネットにおいて先進的な試みを続けられているのは周知の通りです。


そしてこの度自らの作品『ブラックジャックによろしく』について二次利用を完全フリー化されました。これはネットニュースなどでも記事として取り上げられましたのでご存知の方も多いかもしれません。下記リンクが二次利用完全フリー化について広報されているページへのものです。

佐藤秀峰 日記 | 漫画 on Web 佐藤秀峰 日記 | 漫画 on Web




 利用規約が明記されており、日本語版及び英語版のダウンロードページへのリンクもあります。


 書店やコンビニエンス・ストアの店頭で平積みされている『海猿』や『ブラックジャックによろしく』を目にしたことはあるのですが、読んではいません。映画・ドラマでも見ていません。今回1巻をダウンロートして読ませて頂きます。





 ダウンロードできるファイルの形式は PDF になっています。いったん PC でダウンロードし、 Dropbox 経由で iPhone4 と共有することとしました。私などはネットからのファイルのダウンロード先を Dropbox の共有ディレクトリにしているので端末間の共有について簡単にできるイメージを持つわけですが、お詳しく無い人にとってはそんなことを言われても……となるのかもしれません。

 勿論いきなりタブレットやスマートフォンでダウンロードすれば良いのですが、約 26 MB もあるファイルですので無線LAN経由でないとちょっと時間がかかります。定額制ならばパケット料はそれほど気にしなくても済むと言えるのかもしれませんが。



 iPhone4 でまず Dropbox のアプリを開き、Dropbox のクラウド経由で先ほどダウンロードした『ブラックジャックによろしく』1巻の PDF を表示、タップしてファイルを開きます。




 Dropbox アプリの画面右下のアイコンをタップすると他のアプリで開くメニューが出てきます。



 ブックリーダーを含む他のアプリが表示されます。iBooks、bREADER、Kinoppy、kindle と出てきました。

kindle の iPhone アプリを初めて使おうとしてみたのですが


 そういえば kindle の iPhone アプリはインストールしただけで、今まで使ってみたことがありませんでした。選択してみます。


 "kindle" の表示が出たままの状態がしばらく続き、やっと「漫画onWeb」のロゴが出たところで何も動かないことを確認しました。

 一度 kindle を終わらせて開いてみるのですが、iPhone アプリが落ちてしまい、表示することができません。PDF ファイルが大き過ぎるためだろうかと思い、小さな PDF を kindle アプリで開こうとしますが同じです。うーん、やはり Amazon から Kindle が発売されるのを待てということなのでしょうか。

 諦めてしまいました。他のアプリを試します。

取り敢えずな標準フォーマットとしてのPDF


 他のリーダーアプリケーションは、PDF ファイルの大きさをものともせず読める形に表示してみせました。

 iBooks。



 bREADER。


 Kinoppy。


 どのリーダーも PDF であっても現在位置や栞などのひととおりのメニューが使えるようになっています。

 Kinoppy はどこで判断したのか、最初に開いた時にだけ「絵本はスマートフォンを横にして表示すると見やすくなります」というようなメッセージを表示しました。ただ『ブラックジャックによろしく』は他の漫画と同様に縦長のレイアウトなのであてはまらないのですが。

 このお節介なメッセージに免じて Kinoppy でひととおり読むこととしました。


 実際に PDF で読んでみて、特に使い勝手の面で不便さは感じませんでした。

 PC で PDF を扱う時には開く時の微妙な重さや、見た目にどことなくシャープさを欠く印象などを感じてしまい、"e-book" のフォーマットとしてはどうだろうかと思ってしまいます。タブレットは私は使っていないので正確な印象を述べられないのですが、スマートフォンの画面が小さいため、そういった印象が抑えられてしまう面があるのではないかと思います。


『ブラックジャックによろしく』は日本語と英語の切り替え可能なアプリとしても iTunes App Store にあがっており、こちらも現在は無料になっています。佐藤秀峰さんとしては二次利用の完全フリー化にあたり、現時点で一番広く見てもらえるフォーマットとして PDF を選ばれたのかな、と感じました。「今後の標準フォーマットは何が良いか」というような議論は軽々と飛び越えて、まずは前例を作ってしまおうぜ、という気概があるのではないかとおもうのですが的を得ていますでしょうか。

 巻末に最初にご紹介したのと同じ利用規約が付けられています。何でもないようなことですが、このような形式についても真似されていくことになるのではないかという気がします。