『ONE PIECE カラー版』 尾田栄一郎

2013年3月23日土曜日

 ちょっと日常雑事に囚われている間に、文化庁と国立国会図書館が共同で行った電子書籍の配信実験プロジェクト「文化庁eBooks プロジェクト」が終わってしまいました。酒井潔氏『エロエロ草子』、紀伊国屋BookWebでダウンロードしたものを読んでみたかったのですが……勿論国立国会図書館では現在でも電子版の参照ができます。

 それはさておき『エロエロ草子』とは方向性が違うものを取り上げます。いや、ナミやロビンみたいなグラマーが登場するから満更違いもしないか……
『ONE PIECE』がマンガでもアニメでも注目され、私よりも年が上のひとが子供の買ってきたマンガを見て惹き込まれ「あれは面白いぞ」と熱弁を振るったのは十数年前だったと思います。そのあとに生まれた我が子が小学生になり、「ワンピースのマンガ、パソコンで買いたい」などと言い出すというには何かしらの感慨を呼び起こされるところではあります。

 ただ、どうも我が子はパソコンで買える『ONE PIECE』については紙で買うよりも安い……と思い込んでいる節があり、苦笑しながらまだちゃんと読んでいないという辺りの最初の巻を買ってみることにしました。

 ざっと Kindle Store、紀伊国屋BookWeb、Booklive!、Sony reader ストア 辺りを調べたところ e-book はモノクロ版とカラー版の両方がダウンロードできるようになっています。カラー版は紙のコミックスよりも高い。最新刊が紙で \420 のところ、カラー版は \472。恐らくカラー版は作品に彩色の上作成しているのでしょう。『ONE PIECE』の最新刊は現時点で69巻で、これはモノクロ版ならばダウンロードできますが、紀伊国屋BookWebで確認した限りにおいてはカラー版は67巻まで。これは彩色作業待ちなのが理由なのでしょう。子供には、こちらの方が高いこととその理由をきちんと説明しておかないといけませんね。

 上記は紀伊国屋BookWeb での "ONE PIECE" という語句での検索結果ですが、そもそも最初は iPhone の Kinoppy で検索しました。すると、ヒットしません。空白が入っているのが駄目なのだろうかとかいろいろ試しましたが出てこない。PC で Web から検索するとこのように出て来ました。同じサービスとして使っているので、ここは共通の結果を見せて欲しいのですが、どこかに制限について記載されていたりするのでしょうか。

 また、単純に語句検索しただけだと巻数の順番がばらばらに出てきます。Amazon.co.jp で検索すると、曲がりなりにも巻数順に最新刊から表示されるようにも見えますが、途中からグッズしか表示されなくなるところから見ると、単に売れ筋などのロジックで表示した結果のような気がします。紀伊国屋の方は「このシリーズの商品一覧」というリンクに移動すると、巻数順にすべて表示されました。現実解としては、この紀伊国屋の画面構成が分かりやすいのかもしれません。Kindle Store など他のサービスではこのような一覧機能が見つけられず、同じくカラー版の67巻まであがっているのか、確認することが出来ませんでした。

 このように恐らく今一番人気があるのではないか、という漫画を買うのですら様々な困難が買う側からみるとある、ということは売る側は広く認識しておく必要があります。電子書籍の販売サイトにおける巻数表示に関してはつい最近、指摘されているのを読みました。今後早急に改善が進まねば e-book における成功例というのがなかなか出てこないというような事態にもなりそうです。



  私としては漫画の『ONE PIECE』はこのたび初めて読みました。先にアニメは子供と一緒に見たり、昨夏大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンで『ONE PIECE』がフィーチャーされているのを見ていたりして段々筋が分かってきていた、という程度です。「あの骨だけの奴はなんていうんだ」とか「ロビンが戦ってる時の手はどこから出て来るの」とか「ゾロは格好いいけどなんであそこで反対に走って行こうとすんだ」などという質問には子供達がすぐ答えてくれます。『バガボンド』を手放した後漫画をあまり読まなくなって久しいですが、自分が他所を向いている間に日本を代表する作品、漫画家になっているのだと改めて感じました。

 あと、漫画とアニメとの間に違和感が少ないのに感心しました。これは子供が持っている巻を読んだ時に感じたのですが、先にアニメで見たシーンを尾田さんが書かれたページで見てもほとんど同じものに感じます。『ONE PIECE』というものがひとつのチームから生み出されていて、分担がきちんと為された状態で運営されているのではないでしょうか。先に「e-book の出来が悪いのでできれば作り直して欲しいが、契約上作者にも出版社にも依頼する権利がないような状態になっていることに気がついた」というようなことを漫画家の方が書かれているのを読んだのですがブックマークしておくのを忘れていました。そういう問題が無い形で運営されているように見えますし、良い実例ととなって欲しいとおもいます。

 それはそうと、今後なかなか22巻以降は買ってあげられないぞ、ということを子供に説明しなければ。