kagawa ebooks (株式会社広信印刷社)

2013年10月19日土曜日

 私はものが捨てられない性格です。チラシだのパンフレットだのといったものは所帯をもつ以前は食卓の上だのに積んであって、使わないのに捨てられないというような光景が日常的でした。いまも自分のパソコンラック周辺にはそのような感じが残っていますが我が家が全体としては片付いているのは「かたづけるというのは、捨てることよ」という明快な哲学を持つ妻のお陰です。

 とはいえ、たまの旅行に行った時にもらったパンフレットだのは、ノートに綴じて残したりします。

 また、様々な経緯でもらってきたりお送り頂く政策だの地域情報に関する小冊子だの美術館や博物館の特別展パンフレットだの、まとめて PDF データにしてEvarnote (テキストや画像など多様な形式のデータをファイリングし整理するサービス)に登録して紙は捨ててしまおうなどとします。紙を PDF にするのは最近ならばコンビニエンス・ストアの複合機で出来ますが、それなりの費用がかかりますのでなんでもかんでもというわけにはいきません。

 今回取り上げたのは「香川ebooks」、香川県に特化した e-book ポータルサイトです。最初は何気なくパソコンでみていたのですが、iPad アプリがあるのに気が付いて使ってみました。これが、香川県に特化ということでどんな書物がラインナップされているのかというと地域広報誌、観光案内、博物館や美術館のパンフレットなどといった小冊子的なものが多くなっているのです。私が「捨てられない」部類のものがはじめからデータ化されているわけです。
画面下のメニューで「香川ebooksへ」を選ぶとアプリ内で香川ebooksのウェブサイトがアプリの画面で表示され、読むことができる「本」が並びます。

 読みたい「本」をタップすると即「MY本棚」に取り込まれ、すぐに読むのか確認するポップアップメッセージが表示されます。「はい」を選べば即開き、「いいえ」を選んでもメニューで「MY本棚」を表示して「本」をタップすれば読めます。
「はい」を選択していきなり開いてみましょう。
ページめくりは指で左右にフリックすれば良い。一般的な e-books の操作と同じです。

 上記は全画面表示ですが、画面内をタップすると上下にメニューを表示させることができます。
そうか平賀源内、高松藩の足軽の家の出だったか……などと思いつつ。高松市のお隣、さぬき市の志度という村に生を受けられたのですね。
「MY本棚」はこんな感じになります。

 2004年、というと10年近く前ですが、春の連休をつかって家族で香川と徳島を旅行したことがありました。妻が讃岐うどんの美味しいのを食べに行ってみたいと言ったのと、私が阿波の脇町の町並みを見に行きたかったのとがテーマだったのでした。長男はまだ幼く、次男は妻のお腹のなかにいた頃のこと。

 私は旅行に行く前に、その土地をテーマにした紀行文で良いものがないか探して読んでから行きます。もし10年前に iPad とこのサービスがあったならば、私は本だけでなくここでもいろんな小冊子を読んでから出かけただろうとおもいます。

 また、市町村が出している広報誌が入っていることから、紙での各戸への配布を補足するような使い方が考えられそうだと思います。こういったものを読むのに紙より手軽な方法など無いでしょうし、年齢が上の方の方にはタブレットを使うということ自体に抵抗感がある方も多いですから、「補足する」というのが適切なのではないかという気がします。例えばなくしてしまってもすぐ再入手できるだとか、昔の冊子をちょっと引っ張りだして読んだり、ということです。「去年はインフルエンザの予防接種はどれくらい補助が出たんだっけ」とか「マラソン大会は例年何月何日開催だったろうか」みたいな知りたいことを引っ張ってくるのに、広報誌はもう廃品回収に出してしまったけど調べられるというような使い方はありそうな気がします。

 その観点からすると、「香川ebooks」のサイトにある検索機能は「MY本棚」にもあって良いような気がしました。もっと言うとタグ検索だけでなく全文検索できたとすると面白いのではないかとおもいます。

 他の地方で同様の試みはないのだろうか……今のところ香川県以外では見つけられていません。地方自治体が自分が出している広報誌や規定集をPDF化して公開している例はよく見られるのですが、地域をテーマに横断的にポータルとリーダーアプリを提供しているというのはなかなか無いようで、さすがはうどん県だというところでしょうか。