私は e-book としてしか流通していない本にどうしても目が行きます。ここ1年2年のことでしょうか、書店の目立つ場所の売り上げベストテンのための平積みだなにある本も、かなりのものが e-book でも購入できるようになりました。そういう本について取り上げないのは、書いている私のへそ曲がりによるものだろうかとおもいます。
今回取り上げるのも e-book のみ Kindle Store にあがっている小説です。
2011年3月11日に東日本大震災があってから数日間の福島第一原子力発電所を題材にした短いフィクションです。原発で警備員として勤務していた主人公の視点と、原発の現場における緊迫した事故対応の経緯を組み合わせた構成になっています。
巻末の参考文献のリストをみると、書かれている内容はある程度既にルポタージュとしてまとめられていることが含まれているのだろうとおもいます。著者についてはプロフィールをみさせて頂いたところアメリカに在住のようですので参考文献から知り得た情報から小説を組み上げられたのだろうかと推測します。ですが4号機の燃料プールに冷却水を流し込むミッションについての描写に説得力があったのは、著者が化学方面にある程度素養をお持ちなのかもしれないとおもいました。また避難するかどうかで揺れる住民の心理にもリアリティを感じたのは聞き得た情報を咀嚼して表現する筆力をお持ちであるともいえます。
原子力発電所の事故以来、様々な情報が流れています。残念なことには国の行政組織としては放射線による被害や影響を積極的に共有する態度に欠けているように評価していますし、テレビや新聞においても普通に生活している住民よりもスポンサーや特定の政治傾向の方を向いて報道をされているところが多々あるようです。では個人レベルでネット上に流されている情報はというと、「とにかく危険だから逃げろ」や「危険などない」など極論が声も大きく目立ってしまい、かつ異なる考えを非難し合うという風になりがちで、非難や嘲笑の応酬になった日には問題の本質が見失われているような場面も目にします。
それをおもうと、本作の冒頭にこのように書かれていることには敬意を覚えます。もちろん、離れたところで書いているからこのように冷静に居れるのかもしれません。福島第一原発の現場の勤務者の方が罵声を浴びるようなこともあると聞いたことがあり、それをおもうといたたまれない気持ちになります。実際被害を受け、避難せざるを得ない人からすると誰かに苦情を言わねばやってられない気持ちを抑えられないのかもしれません。しかし実際には罵声を浴びるべきは東京電力の経営者であったり、福島に原子力発電所を建設させた政治家や行政官僚でありましょう。原発の現場で働く方々はこのフィクションで描かれているように被害を食い止めているのであり、彼らがやってくれなければ東日本の脅威は去らないのです。
話が脱線するのですが、今回この本は iPad で購入しました。
通常本を買う時、Amazon なり紀伊國屋なり、ウェブサイトやアプリ内で検索して購入することもありはしますが、実際はブログや Facebook、Twitter でひとが薦めているところから購入に行くことが多いようです。
以前「iPhone などの Kindle アプリで購入ができない」という不便さに言及したことがあるのですがよくよく考えてみるとむしろ SNS のポストから購入への動線がスムーズならば用は足りるのではないかとふと思い直しました。今回の『小説 イチエフ』も Twitter で紹介されていたのをみて(iPad でこのポストから購入して読めれば良いのではないか)とふと思い、わざわざ Favorite をつけておいたそのポストを iPad で開いて購入する動作を体験してみました。
まず Amazon の作品ページへのリンクを開きます。この場合ページはブラウザではなく SNS の統合管理アプリである Hootsuite で開いています。
「\100で購入」をクリックします。
はい、購入できました。
「Kindle for iPadへ」ボタンをタップすれば、Kindle が開くわけです。
今回取り上げるのも e-book のみ Kindle Store にあがっている小説です。
2011年3月11日に東日本大震災があってから数日間の福島第一原子力発電所を題材にした短いフィクションです。原発で警備員として勤務していた主人公の視点と、原発の現場における緊迫した事故対応の経緯を組み合わせた構成になっています。
巻末の参考文献のリストをみると、書かれている内容はある程度既にルポタージュとしてまとめられていることが含まれているのだろうとおもいます。著者についてはプロフィールをみさせて頂いたところアメリカに在住のようですので参考文献から知り得た情報から小説を組み上げられたのだろうかと推測します。ですが4号機の燃料プールに冷却水を流し込むミッションについての描写に説得力があったのは、著者が化学方面にある程度素養をお持ちなのかもしれないとおもいました。また避難するかどうかで揺れる住民の心理にもリアリティを感じたのは聞き得た情報を咀嚼して表現する筆力をお持ちであるともいえます。
原子力発電所の事故以来、様々な情報が流れています。残念なことには国の行政組織としては放射線による被害や影響を積極的に共有する態度に欠けているように評価していますし、テレビや新聞においても普通に生活している住民よりもスポンサーや特定の政治傾向の方を向いて報道をされているところが多々あるようです。では個人レベルでネット上に流されている情報はというと、「とにかく危険だから逃げろ」や「危険などない」など極論が声も大きく目立ってしまい、かつ異なる考えを非難し合うという風になりがちで、非難や嘲笑の応酬になった日には問題の本質が見失われているような場面も目にします。
それをおもうと、本作の冒頭にこのように書かれていることには敬意を覚えます。もちろん、離れたところで書いているからこのように冷静に居れるのかもしれません。福島第一原発の現場の勤務者の方が罵声を浴びるようなこともあると聞いたことがあり、それをおもうといたたまれない気持ちになります。実際被害を受け、避難せざるを得ない人からすると誰かに苦情を言わねばやってられない気持ちを抑えられないのかもしれません。しかし実際には罵声を浴びるべきは東京電力の経営者であったり、福島に原子力発電所を建設させた政治家や行政官僚でありましょう。原発の現場で働く方々はこのフィクションで描かれているように被害を食い止めているのであり、彼らがやってくれなければ東日本の脅威は去らないのです。
あの事故をこの程度で食い止めたイチエフの関係者には、いくら感謝しても感謝しきれない。東日本に人が住めなくなる、ぎりぎりの所だったのだから。
余談としての iPad での Kindle Store 購入
話が脱線するのですが、今回この本は iPad で購入しました。
通常本を買う時、Amazon なり紀伊國屋なり、ウェブサイトやアプリ内で検索して購入することもありはしますが、実際はブログや Facebook、Twitter でひとが薦めているところから購入に行くことが多いようです。
以前「iPhone などの Kindle アプリで購入ができない」という不便さに言及したことがあるのですがよくよく考えてみるとむしろ SNS のポストから購入への動線がスムーズならば用は足りるのではないかとふと思い直しました。今回の『小説 イチエフ』も Twitter で紹介されていたのをみて(iPad でこのポストから購入して読めれば良いのではないか)とふと思い、わざわざ Favorite をつけておいたそのポストを iPad で開いて購入する動作を体験してみました。
まず Amazon の作品ページへのリンクを開きます。この場合ページはブラウザではなく SNS の統合管理アプリである Hootsuite で開いています。
「\100で購入」をクリックします。
はい、購入できました。
「Kindle for iPadへ」ボタンをタップすれば、Kindle が開くわけです。
なお作品は家では iPad で、移動中などは iPhone5 で読んでいました。タブレットとスマートフォンを持つようになって、一般的な e-book サービスの便利さというものは再認識しました。クラウドに本を持っているので、どこまで読んでいたのかというのを都度同期してくれます。以前 Booklive! で東洋文庫を購入した際、原版の画像データなので読んだ場所を覚えてくれませんでした。Kindle も半年ほど前は読んでいた場所を忘れてしまっていた気がします。同じスマートフォンで読んでいたのに、です。徐々に使い良くなっているなと、おもいます。
ですので……この、真摯に福島第一原発の現場を表現しようとした作品も手に取ってみてはどうかとおもいます。
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