本の共有サービスの今後

2014年9月23日火曜日

 以前にも書いたことがあるのですが、本の通販サイトであったり、ebooks のダウンロードサービスというのはアマゾンはじめたくさんあります。それらの販売サービスも読んでいる本を共有する機能を持っていたりしますが、販売サービスが複数ある以上サービス中心でなく本を中心に読んだ本を共有できるようなサービスがないかとおもっていました。無いならつくりたい、ぐらいに。

 ここ半年ぐらいでそれに該当し得るサービスというものが2つありそうだ……という評価を持っていました。ひとつはブクログ。元々はウェブサービスですが、私はウェブ以外に iPhone5 と iPad の両方で使います。android アプリもあります。以下は iPad の初画面です。



 もうひとつは Booklap というサービスです。これもウェブサービスとしてスタート、今年になって iPhone 向けアプリがリリースされ、使い始めてみていました。こんな感じのアプリケーションで、本を共有する、というよりは「本からの引用を共有する」というコンセプトのサービスです。iPhone5 だと下記のような画面イメージ。



 ところが7月ごろ、Booklap の iPhone アプリを開くとログイン情報をみにいくような挙動があったのち「接続できない」ような表示が出てしまう、という状況が置きるようになりました。アプリが壊れたのだろうか……などとおもっていたら違いました。





 どうも詳細が聞こえてこないのですが創業者が運営会社の経営を停止。その際サービスが落ちていたようでした。しかし現場の担当エンジニアがサービスを継続することとしたため再びサービスは使えるようになっています。そのサービスに経営をやめた元創業者のアカウントが相変わらずあって、かつお薦めユーザーとして表示されてくるのが不思議でもあり……

 知らずにいたのですが昨年には百度との提携をして利用者を増やしていたそうで、外に出て行くという戦略上であれば百度も良いだろうがこうなってみるとはて……と考えてしまいます。


もしこんな機能が付いたら絶対使う

Booklap についてはこれから起死回生の逆転があるのか、現場を知らない1ユーザーの身としてはなんとも言えないと感じています。ただ、Booklap が提示した使い方で私が興味を持ったのが「引用を共有する」というところでした。

 本というのは時に思い入れの強い読者を生みますから、そういう人間は特に印象深いフレーズをソーシャルサービスにポストして他のひとに知って欲しいという行為に快楽を感じることは考えられそうです。ただ私が興味を持ったのはそういう使い方にとどまりません。

「引用」、"Quote" というと私はタンブラーというサービスを思い出します。ミニブログと簡単に表現しきれないサービスで、自分のコンテンツをポストすることにも使えますがウェブ上に公開されている文章、画像、リンク、音源、映像といったものを簡単にポストすることもできます。つまり参照元を明示したうえで「引用」することが簡単にできるわけです。

 tumblr には tombloo というウェブブラウザの拡張アドオン機能があります。現在は使わなくなっていますが読んでいるウェブサイトの文章をドラッグして右クリックするとタンブラーに引用ポストができるというものでした。

 今は私はこのアドオンは使わなくなりましたが、その代わりにスマートフォンやタブレットにおいては同じような操作はより洗練されて提供されるようになっていてよく使います。その機能を Booklap なりブクログが提供できたら……と夢想するのです。つまり、ebook においてこそ「引用を共有する」というサービスが威力を持ち得る、と考えてしまいます。

 他サービスへの共有 機能を持つかどうかはブックリーダーアプリが持つ事になります。これは既に Kindle なり、Kobo にはあります。以下は Kindle の例です。


 画面を指で長押ししていると、その箇所の色が反転して選択された状態に出来ます。この時に表示されるメニューの 一番右、□から↑が出ているアイコンが共有ボタンです。


 この共有ボタンをタップすると Twitter と Facebook へのシェアが出来る画面が表示されて、コメントと引用部分をポストすることが出来ます。

 ところで先日 iPhone と iPad を iOS8 にあげたばかりですが、ウェブブラウザの Safari の共有機能のアイコンをタップした場合、ウェブページの共有先を追加できるようになっていることに気がつきます。


 上の iPad の画面キャプションの場合、「… その他」をタップすると追加の共有先サービスが選べるというものです。

 こんな感じで選べるようになっているわけですね。

 Kindle なり Kobo なり、というかブックリーダーを問わずに同じようにこのインターフェースを備えていて、適切な本の共有サービスにポストできるとウェブコンテンツと同等に共有ができるようになります。ebook と web は本質的には同じものだと私は理解していますのでそれが自然ではないかと考えます。この API の合わせについて今どこかで考えておられる人が既にいて「遅いよ」とたしなめられることを願いつつです。