昨年の12月から「楽天Koboライティングサービス」という ebook の出版サービスがリリースされました。
既にアマゾンはキンドルとともに Kindle Direct Publishing という ebook 自己出版サービスを提供しており、先行している状況のなかやっと出たか……というところです。
情報としては知っていたのですが今年になって山田佳江さんが自著をこの楽天Koboライティングサービスで出されたのを Twitter で広報されているのを知り反射的に買いました。その、最初に買った ebook が『窓のもり』。
その後割りとすぐ、山田佳江さんの別の作品が「第一回KDP文学賞」のSF部門を受賞されたことを知りました。
これも反射的に買って読みました。
『リーディング・ナイフ』を読んで(あ、『窓のもり』はこういう風に読んだら面白いのか)と思って再読することとなりました。というのは最初『窓のもり』について、どういう話なのかちょっとピンと来なかったようなところがあったのです。それが、もう1冊読むことで気がついた。
こういう本との出会い方というのは、もちろん「紙の本」でも起きることでしょう。あえていえば ebook であるということで、読み始めまでの距離と時間が短い。Twitter や Facebook のようなSNSサービスを通じて知ってからすぐ読み始めることもできる、というのは ebook ならではなのかもしれません。
このあとも2冊購入して読んでいるのですがどの作品も一見主人公達の日常を描いています。ただ、そのどこかに異世界への扉らしきものが口を開けている。だから小説かとおもっていたら実はサイエンス・フィクションでもある……と気がついたわけです。そういえば村上春樹さんの作品群などもそう読めますね。そんなことを山田さんの作品を読んでいる途中で想起しました。
「扉」は微かにしか現れない作品もあるし、『リーディング・ナイフ』ではかなりはっきりと現れていきなり主人公を呑み込んでしまいます。古いマッキントッシュあてに過去の自分からメールが届く……そこが入り口です。文学賞のSF部門で最優秀に選ばられるにふさわしいというのが読後感でした。
読みながら、作者の山田さんにツイッターを通して尋ねてみたことがひとつあって、表紙のカバーデザインのことでした。
KDPやKoboライティングサービスの登場で小規模出版への敷居が低くなることで、ebook のパッケージ・デザインというものが玉石混交になっています。本の内容とかけ離れた表紙やビジネス文書をそのまま流し込んだという風なチープなものも多くなります。実際はフォントまで気を配ってほしいものですし、作品の顔たる表紙は内容に合っていてかつ美しいものであるべきでしょう。
山田さんの作品はどれも表紙がきちんとしています。『リーディング・ナイフ』と『電子の灯す物語』は藤井太洋さんが担当され、あとは自作されているということです。自分はこの辺りのデザインのセンスや腕に全く自信がなく、昨年『トルタル』に『内川逍遥』を掲載いただく際にもカバーの写真だけ選んでデザインしていただきました。パッケージに手を抜かない姿勢には敬意を覚えます。
あと、改めて読んで、山田さんの作品の「SFではない部分」に惹かれるな、と気付きました。『窓のもり』で主人公の藤本くんが怪我をした時に思わず好意を寄せているバイト先のひとを抱きしめてしまうシーンがあります。そこがなんとも言えずいいなぁ。
窓のもり
リーディング・ナイフ
そこここ
ノウチラスの黒猫
Amazon.co.jp: 山田佳江:作品一覧、著者略歴
既にアマゾンはキンドルとともに Kindle Direct Publishing という ebook 自己出版サービスを提供しており、先行している状況のなかやっと出たか……というところです。
情報としては知っていたのですが今年になって山田佳江さんが自著をこの楽天Koboライティングサービスで出されたのを Twitter で広報されているのを知り反射的に買いました。その、最初に買った ebook が『窓のもり』。
その後割りとすぐ、山田佳江さんの別の作品が「第一回KDP文学賞」のSF部門を受賞されたことを知りました。
第1回KDP文学賞SF部門は厳正な審査の結果、山田佳江氏の『リーディング・ナイフ』に決定しました。山田佳江さん、おめでとうございました。投票頂いた皆様ありがとうございます。http://t.co/IBldW2jcx1
— KDP文学賞 (@kdp_bungakusyou) January 12, 2015
これも反射的に買って読みました。
こういう本との出会い方というのは、もちろん「紙の本」でも起きることでしょう。あえていえば ebook であるということで、読み始めまでの距離と時間が短い。Twitter や Facebook のようなSNSサービスを通じて知ってからすぐ読み始めることもできる、というのは ebook ならではなのかもしれません。
このあとも2冊購入して読んでいるのですがどの作品も一見主人公達の日常を描いています。ただ、そのどこかに異世界への扉らしきものが口を開けている。だから小説かとおもっていたら実はサイエンス・フィクションでもある……と気がついたわけです。そういえば村上春樹さんの作品群などもそう読めますね。そんなことを山田さんの作品を読んでいる途中で想起しました。
「扉」は微かにしか現れない作品もあるし、『リーディング・ナイフ』ではかなりはっきりと現れていきなり主人公を呑み込んでしまいます。古いマッキントッシュあてに過去の自分からメールが届く……そこが入り口です。文学賞のSF部門で最優秀に選ばられるにふさわしいというのが読後感でした。
読みながら、作者の山田さんにツイッターを通して尋ねてみたことがひとつあって、表紙のカバーデザインのことでした。
KDPやKoboライティングサービスの登場で小規模出版への敷居が低くなることで、ebook のパッケージ・デザインというものが玉石混交になっています。本の内容とかけ離れた表紙やビジネス文書をそのまま流し込んだという風なチープなものも多くなります。実際はフォントまで気を配ってほしいものですし、作品の顔たる表紙は内容に合っていてかつ美しいものであるべきでしょう。
山田さんの作品はどれも表紙がきちんとしています。『リーディング・ナイフ』と『電子の灯す物語』は藤井太洋さんが担当され、あとは自作されているということです。自分はこの辺りのデザインのセンスや腕に全く自信がなく、昨年『トルタル』に『内川逍遥』を掲載いただく際にもカバーの写真だけ選んでデザインしていただきました。パッケージに手を抜かない姿勢には敬意を覚えます。
あと、改めて読んで、山田さんの作品の「SFではない部分」に惹かれるな、と気付きました。『窓のもり』で主人公の藤本くんが怪我をした時に思わず好意を寄せているバイト先のひとを抱きしめてしまうシーンがあります。そこがなんとも言えずいいなぁ。
窓のもり
リーディング・ナイフ
そこここ
ノウチラスの黒猫
Amazon.co.jp: 山田佳江:作品一覧、著者略歴
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