波野發作さんとはよくお会いしているような気がします。私は割りと出不精なのでそんな私がよくお会いするというのは波野さんがセルフ・パブリッシングに関する様々な場所にまめに登場しておられるということです。
顔を出すだけでなく、様々な試みを打ち出してくる。昨年中は「毎日イチ読」しますよ、というキャンペーンをやってみたり。
波野さんはデザインもできるので昨年中に「無料で電子書籍の表紙を1作作りますよ」というキャンペーンを打ってみたり。
雑誌「群雛」においては寄稿するだけでなくこれから参加するひとを想定した「ゼロからおしえる群雛のはじめかた」を短期集中連載していたり。
作品が「群雛文庫」としてカットオフされたり。
先日発売された『別冊群雛』のSF特集の巻では編集を担当されてもいます。これは本名でのお仕事だったかな。
で、私も参加しているSS合評では第一回チャンプであったりするわけです。
『十三日間日本一周(上)』 波野發作著
ebook においてセルフ・プロデュースの成功例を目の前で作ってみせてくださったのが上記『別冊群雛』でも巻頭の対談に参加されている藤井太洋さんだと私はおもいます。パッケージデザインも含めた作品の質、自己出版ながらマゾンのランキング上位に入った的確なプロモーション。波野さんが様々なことに挑戦して実績を積み重ねているのをみると彼は次の成功例を示し得るひとりではないかとおもいます。特に楽しそうに挑戦しているのが良い。いや実際はいろんな障壁とかあるだろうとおもうんですけどそういうのを表に出さずに居れる明るさを持ってる。
その波野さんが現在も執筆中の『ストラタジェム;ニードレスリーフ』の1巻。江戸時代の出版業界についての史実を背景に編み出された知的エンターテイメントです。本が好きなひとや出版業界にいるひとが本についての本を書くというと時に自己言及的であるかもしれず、本好きのひと以外にも面白いのか、楽屋落ちに堕していないのか気になります。自分がどちらかというと本好きの方に属しているので(これって誰が読んでも面白いよね?)という感じなのです。つまり、きっと楽屋落ちなんかではなく多くの読者にとって面白いに違いない。
この作品のメイキングについては「マガジン航[kɔː]」に波野さんが書かれているので※それを読んでから本を手に取っても良いし、いきなり読み始めても楽しめるはずです。
作家をジャンル分けするのも良し悪しですが波野さんは私の中ではSFのひとというイメージです。村上春樹さんもSFのひとだと考えている私の認識なのでえらく広いジャンル分けなのですけれどどちらかというとその作家さんが持っている属性、という感じでしょうか。その属性が働いて『ストラタジェム』は「江戸時代の出版業界が背景」だけれどただの歴史小説ではない。職を失った書店員が主人公だけれどありふれた職業小説や経済小説でもない。彼はひょんなことから別の本屋の世界に巻き込まれます。
私はあれこれ資料に当たって眺めたうえでそこから絞り取れた事柄をさも前から知っていたような顔をして書くという芸風を以って自ら任じています。比較するのも失礼な話しなのですが波野さんは資料に当たって調べ尽くしたうえでその裏では実はこんなことがあったんじゃないかと奇想天外を提示している。前述のSS合評、「実話を書く」というルール設定のなかで波野さんは第一回の優勝時にロードムービー的作品を提示されてきました。この時に「自分と一番違う作品じゃないだろうか。こういう風には自分は書けない気がする」というようなことを書きました。『ストラタジェム』を読んでやっぱり自分はこういう風には書けないな……と改めて感じました。どちらが面白いのか、という点について安易に白旗をあげずにおきたいわけですが読み手としては楽しませてもらっています。
2巻は進行中ときいているので楽しみにしています……とプレッシャーをかけつつ。
※「もしも、ペナンブラ氏が日本人だったら « マガジン航[kɔː]」参照
ストラタジェム;ニードレスリーフ 巻ノ壱 キルアクロウ
顔を出すだけでなく、様々な試みを打ち出してくる。昨年中は「毎日イチ読」しますよ、というキャンペーンをやってみたり。
「誰でもいいから読んで欲しい」って心の声に答えて、ぼくが読みましょう。今日読んで欲しい人、先着1作募集中。売ってるものは買いますよ。読んだ後は140字でレビューします。名乗り上げはRTかDMにて。受付中なう #一日一読— 波野發作@ストラタジェム進行中あと6万字 (@fuliefool) November 1, 2015
波野さんはデザインもできるので昨年中に「無料で電子書籍の表紙を1作作りますよ」というキャンペーンを打ってみたり。
雑誌「群雛」においては寄稿するだけでなくこれから参加するひとを想定した「ゼロからおしえる群雛のはじめかた」を短期集中連載していたり。
作品が「群雛文庫」としてカットオフされたり。
先日発売された『別冊群雛』のSF特集の巻では編集を担当されてもいます。これは本名でのお仕事だったかな。
で、私も参加しているSS合評では第一回チャンプであったりするわけです。
ebook においてセルフ・プロデュースの成功例を目の前で作ってみせてくださったのが上記『別冊群雛』でも巻頭の対談に参加されている藤井太洋さんだと私はおもいます。パッケージデザインも含めた作品の質、自己出版ながらマゾンのランキング上位に入った的確なプロモーション。波野さんが様々なことに挑戦して実績を積み重ねているのをみると彼は次の成功例を示し得るひとりではないかとおもいます。特に楽しそうに挑戦しているのが良い。いや実際はいろんな障壁とかあるだろうとおもうんですけどそういうのを表に出さずに居れる明るさを持ってる。
その波野さんが現在も執筆中の『ストラタジェム;ニードレスリーフ』の1巻。江戸時代の出版業界についての史実を背景に編み出された知的エンターテイメントです。本が好きなひとや出版業界にいるひとが本についての本を書くというと時に自己言及的であるかもしれず、本好きのひと以外にも面白いのか、楽屋落ちに堕していないのか気になります。自分がどちらかというと本好きの方に属しているので(これって誰が読んでも面白いよね?)という感じなのです。つまり、きっと楽屋落ちなんかではなく多くの読者にとって面白いに違いない。
この作品のメイキングについては「マガジン航[kɔː]」に波野さんが書かれているので※それを読んでから本を手に取っても良いし、いきなり読み始めても楽しめるはずです。
作家をジャンル分けするのも良し悪しですが波野さんは私の中ではSFのひとというイメージです。村上春樹さんもSFのひとだと考えている私の認識なのでえらく広いジャンル分けなのですけれどどちらかというとその作家さんが持っている属性、という感じでしょうか。その属性が働いて『ストラタジェム』は「江戸時代の出版業界が背景」だけれどただの歴史小説ではない。職を失った書店員が主人公だけれどありふれた職業小説や経済小説でもない。彼はひょんなことから別の本屋の世界に巻き込まれます。
私はあれこれ資料に当たって眺めたうえでそこから絞り取れた事柄をさも前から知っていたような顔をして書くという芸風を以って自ら任じています。比較するのも失礼な話しなのですが波野さんは資料に当たって調べ尽くしたうえでその裏では実はこんなことがあったんじゃないかと奇想天外を提示している。前述のSS合評、「実話を書く」というルール設定のなかで波野さんは第一回の優勝時にロードムービー的作品を提示されてきました。この時に「自分と一番違う作品じゃないだろうか。こういう風には自分は書けない気がする」というようなことを書きました。『ストラタジェム』を読んでやっぱり自分はこういう風には書けないな……と改めて感じました。どちらが面白いのか、という点について安易に白旗をあげずにおきたいわけですが読み手としては楽しませてもらっています。
2巻は進行中ときいているので楽しみにしています……とプレッシャーをかけつつ。
※「もしも、ペナンブラ氏が日本人だったら « マガジン航[kɔː]」参照
ストラタジェム;ニードレスリーフ 巻ノ壱 キルアクロウ
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